『偽者使い』

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「見えたか? これが俺の能力だ」    さっきまで偽者が座っていた場所に、眼に光を持った本物のフェイが座っていた。   「見えたよ。つまり、入れ替え、って事?」    ランスには、雷が当たる直前、眼に光が無くなったのが、しっかり見えていた。   「御名答。俺は、自分で作り出した偽者と、自分の位置を好きなタイミングで入れ替えられる。だから、今まで攻撃を受けたのは全部偽者」   「さっきソイツを助けたのもそれ?」   「そう……応用だ。この能力はナカナカ便利でね。契約主にも適応するんだ。俺の隣にカグラの偽者を作って……本物と入れ替えた。これが、全部だ。わかってもらえたかな?」    ランスは答える代わりに肩で溜め息をついた。同時にずっと体の周りをバチバチと取り巻いていた雷も消える。   「言い忘れてたが、今戦う気は毛頭無い。カグラにはよく言い聞かせて置くから……ココは穏便に済ませてくれないか?」   「……わかったよ。今回は貴方に免じて許すよ。でも、次にボクのロウに手を出したら許さないから」    その言葉に脱力したように地面にヘタり込んだのは、ロウレニス。   「良かった……誰も死ななくて」    そんな中、カグラはずっとうなされながら、私はまだ戦える、とか呟いて咄嗟にフェイに口を塞がれたのは余計なお話。
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