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「……とりあえず、ココ何処だ?」
「僕の事務所だよ。探偵業をやってるんだ」
フェイの代わりに、ロウレニスが答える。探偵業、という辺りで少し誇らしげに言ったのは、彼なりのプライドか。
「何でまたそんなトコに」
「あちらさんの御好意でね。カグラとも一人銀髪の子が気絶したまんまってのは話にくいだろうって、あの探偵さん」
フェイが顎でロウレニスの方を示すと、彼は優しく微笑んだ。
「……まぁいいや。つまり、もう用は無いってコトか?」
「ちょっと、何その言い方! いい加減、怒るよ?」
声を荒げるのは、ランス。今までそっぽを向いて黙っていたが、今はコチラを向いて怒りを露わにしている。
「だからこんなのを事務所に入れるのは嫌だって言ったんだよ! 全然反省のかけらも感謝ってヤツもない!」
「ハァ? 何でお前に私が――むぐっ」
慌ててカグラの口を塞いだのはフェイ。
「これ以上話ややこしくしてどうする。喧嘩を売るな喧嘩を」
暴れるカグラを抑えながら、フェイはロウレニスの方を見た。
「さて、探偵さん。ココは、どんな依頼でも受けてくれるのかな?」
「えぇ、まぁ一応」
「じゃぁ……依頼がある。『紅雷の姫君』を見込んでお願いしたい」
「ボクに?」
突然指名されポカンとするランスに、フェイは言う。
「そう、『四大霊鬼』にね」
「わかりました。どんな依頼ですか?」
「何、訊きたい事があるだけだ……『紅雷の姫君』」
「何?」
一呼吸置いた後、さっきまでとはまるで違う低い声で、フェイは言った。
「『四大霊鬼』の一角……『翠』について、何か知ってるコトは無いか?」
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