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『偽者使い』
まず、ランスが紅い雷を直線上に放つ。それをいとも簡単に身を翻して、カグラは避けた。その勢いのまま、斬りかかる。
ランスはそれを紙一重で躱すと掌をカグラに向けた。至近距離で雷撃を放つつもりだ。
しかし、
「甘ぇっ!」
カグラの叫びと同時に、手首を衝撃が襲う。カグラが裏拳でその手首を吹っ飛ばしたからだ。お蔭で、雷撃は見当違いの方向へ飛んでいった。
「痛っ……! この!」
ランスは再び雷撃を放とうとするが、既に目の前にカグラはいなかった。
「コッチだぜ?」
背後から、そんな声。ランスは咄嗟に体の周囲に雷を発生させた。
「おっとぉ! 全方位かよ! やるねぇ!」
雷が発生する直前、カグラはバックステップで距離をとっていた。
「貴方も大概やるね……今のを避ける?」
「テメェもな。雑魚ならもう終わってる」
楽しそうに、カグラは言う。
「久しぶりに強い野郎だ……久しぶりに少し本気を出してやるぜ」
そう言って、カグラを両手に持っていた剣の柄尻を、ぶつけ合わせた。
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