21人が本棚に入れています
本棚に追加
整備士は、彼女の墓石の隣にクピドの墓を作った。
整備士の腕があれば修復するのは容易かったが、もう、彼を眠らせてやりたかったんだろう。
かつて彼を『機械』だと罵った人々も、整備士に諭され理解したよ。紛い物の命だからと言って、傷付けて良い道理はないとね。
そして、終戦日を、彼にあやかり『聖クピドデイ』とした。
今でもあるだろ? 自らの罪を悔い改め、聖歌を歌う日がさ。それの元となったのが、この『聖クピドデイ』だって話だ。聖歌も、彼が歌っていた歌を元にしたともっぱらの噂さ。
そして、それ以降いさかいはめっきり減り、今に至る。
彼と彼女の願いが、世界にようやく伝わったんだな。
最初のコメントを投稿しよう!