電子人形(カレ)の記録

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 整備士は、彼女の墓石の隣にクピドの墓を作った。  整備士の腕があれば修復するのは容易かったが、もう、彼を眠らせてやりたかったんだろう。  かつて彼を『機械』だと罵った人々も、整備士に諭され理解したよ。紛い物の命だからと言って、傷付けて良い道理はないとね。  そして、終戦日を、彼にあやかり『聖クピドデイ』とした。  今でもあるだろ? 自らの罪を悔い改め、聖歌を歌う日がさ。それの元となったのが、この『聖クピドデイ』だって話だ。聖歌も、彼が歌っていた歌を元にしたともっぱらの噂さ。  そして、それ以降いさかいはめっきり減り、今に至る。  彼と彼女の願いが、世界にようやく伝わったんだな。
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