電子人形(カレ)の記録

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 オートマタは実に便利な道具だった。  プログラム通りに動き、余計な情を挟まない。壊れたら替えがきいて、使う側の良心も痛まないからな。 『彼』がそこに棄てられていたのも、要はそういうことなんだろう。  絹のような金色の髪に、アメジスト色の瞳。肌は雪のように白く、中性的な顔立ちは古(イニシエ)の神の使いを彷彿とさせる。  ただ、投げ出された四肢はあらぬ方向に曲がり、傷口からは無機質なコードが地に散らばっていた。  小高い丘の上、生命力溢れる芝生でただ1つ死んでいる存在。それが『彼』だった。  いや、『彼』はきっと始めから生きてはいなかったんだろうな。  死ぬために、死んだまま生まれてきたんだろう。  哀れなオートマタの末路は得てしてこんなものだった。  だから、『彼』が彼女に拾われたのは、本当に運が良かったとしか言えない。
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