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彼女は、この丘の近くで絵を描いている画家だった。
名を、ティアナ=ハスバルト。
アンタも名前くらい聞いたことあるだろ? そう。戦火の中において、ただ1人平和を唱えた、稀代の芸術家。
国と国との境目。いつ戦争が起こるかも分からないその場所で、それでも彼女は絵を描き続けていた。
ボロボロに傷付き壊れた『彼』を何故彼女が拾ったのかは分からない。だが、彼女には『彼』の中に大切な何かが見えていたんだろう。
聞き齧った技術とメカニックに強い友人の手を借り、彼女は『彼』を修復し、“天使”と言う意味合いを持つ“クピド”と言う名を付けた。
ティアナの後期の作品が天使をモチーフにしたものが多いのは、『彼』の影響だと言う噂もある。
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