其之一

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懐刀を持った両手を伸ばし、刃をこちら側に向ける。 カタカタと懐刀を持つ手が震えて止まない。 ――でも、痛いのが嫌なだけで、死ぬことが怖いわけじゃない。 華魅は、生きていても何の意味も見い出せない。 震えは止み、自分の表情が冷たくなったのが分かった。 今、絶好の死ぬ機会が設けられているんだ。 ・・・・・・なぁんだ、どうってことない。 「・・・・・・っ」 自分の腹目掛けて、力いっぱい腕を引いた。 と同時に、ギュッと目を瞑った。 どすっ。 「・・・・・・・・・・・・?」 お腹に鈍痛が走ったが、本来くるべきはずの激痛がこない。 恐る恐る目を開けると、華魅の手から懐刀が消えていた。 「ったく、フツーやるか?」 呆れたような土方さんの声。 ゆっくりと顔を上げると、懐刀を持った土方さんがいた。 「なっ・・・・・・!」 驚いて口をぱくぱくさせていると、安堵のため息のようなものが聞こえた。 「土方さぁん。この子が本気で腹刺してたら、一体どうするつもりだったんですか?」 総司さんが土方さんを問い詰めている。 でも、今の華魅にそんなこと関係なかった。 「なんで止めたんですか!」 気づけば、そう叫んでいた。
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