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「土方さーん、いい加減諦めたらどうですかぁ?」
道場の中、二人の男性が竹刀で試合をしていた。
一人は髪を高く一つに縛った一瞬女にも見えるような美しい男。
土方と呼ばれたもう一人の男は目つきが悪い。
「ッざけんな! 負けっぱなしは性に合わねぇんだよ!!」
短髪で目つきの悪い方の男が悔しげに竹刀を握り直した。
「全く、往生際が悪いですよ」
もう一人の男がため息混じりに呟けば、目つきの悪い男は踏み込んできた。
――その時だった。
ゴッ。
「ーーッ!?」
目つきの悪い男の上に突然一人の少女が降ってきた
頭と頭をぶつけるようにして。
「……土方さーん、生きてますー? 死んでたら返事してくださぁーい」
「どういう事だそれは!」
目つきの悪い男は勢いよく起き上がると叫んだ。
「いや頭打ってたんで、もしかしたら死んじゃったかなーっと」
綺麗な顔立ちの男はケラケラと笑いながら言う。
それに対して土方は苛立ちを隠さず舌打ちをした。
「しかし、いきなり何なんだぁ?」
後頭部をさすりながら土方が振り返ると、そこには見たことのない娘がいた。
「……誰だコイツ」
「気を失ってるみたいですけど、どっから降って来たんでしょうねぇ?」
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