其之一

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「土方さーん、いい加減諦めたらどうですかぁ?」 道場の中、二人の男性が竹刀で試合をしていた。 一人は髪を高く一つに縛った一瞬女にも見えるような美しい男。 土方と呼ばれたもう一人の男は目つきが悪い。 「ッざけんな! 負けっぱなしは性に合わねぇんだよ!!」 短髪で目つきの悪い方の男が悔しげに竹刀を握り直した。 「全く、往生際が悪いですよ」 もう一人の男がため息混じりに呟けば、目つきの悪い男は踏み込んできた。 ――その時だった。 ゴッ。 「ーーッ!?」 目つきの悪い男の上に突然一人の少女が降ってきた 頭と頭をぶつけるようにして。 「……土方さーん、生きてますー? 死んでたら返事してくださぁーい」 「どういう事だそれは!」 目つきの悪い男は勢いよく起き上がると叫んだ。 「いや頭打ってたんで、もしかしたら死んじゃったかなーっと」 綺麗な顔立ちの男はケラケラと笑いながら言う。 それに対して土方は苛立ちを隠さず舌打ちをした。 「しかし、いきなり何なんだぁ?」 後頭部をさすりながら土方が振り返ると、そこには見たことのない娘がいた。 「……誰だコイツ」 「気を失ってるみたいですけど、どっから降って来たんでしょうねぇ?」
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