第11夜 ~舞台~

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社長が連れて行ってくれたのは 近くのブティック。 そこで買ってくれたのは ロングスカートのスーツだった。 「これで足を隠せば、気にならないでしょう」 「社長、私のために? 嬉しい・・・・。 私・・・マーメイドで働きます!」 源氏名は「ミホ」を文字って 『ミナ』に決めた。 そうしてキャバクラ・デビューしたのはいいけど みんなが足を出したコスチュームで働いている中 私だけがロングのスーツ。 (私ひとりだけがロングで、浮いてる…) 私の格好を見て女の子たちは ヒソヒソ話をしていたし お客の中には、新人の私をママと勘違いする人もいた。 そんな環境に不安になり 社長に相談することにした 「社長、私、ここにいていいんでしょうか? 向いていないんじゃないかって思うんですけど…」 「確かに、ミナは足が悪いのがハンデだし それで目立ってしまっているね。 だけど、逆に他の女の子と違う目立ち方をすればいいんだよ」 「・・・どういうことですか?」 「それは自分で考えてみなさい」 (違う目立ち方って、何だろう・・・) ――違う目立ち方―― ”足が悪い“ という事さえも私の個性で “私” という存在をお客様に覚えてもらう事 その時の私には その事を理解できなかったけど のちにその言葉が 私にとって絶大な効果をもたらしていった
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