第9夜 ~変化~

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私が父を尊敬しはじめたころから 父と母は、2人きりで会ったりするようになった。 母の働くスナックで仲良さそうに デュエットしているところを見たこともある。 (もしかして、またみんなで暮らせる日が来るんじゃないかな?) 私は、思い切って提案してみた。 「ねえねえ、2人って、復縁してもいいんじゃない?」 「何言っているの。 ママは、もうバツ2になっている身よ。 今後は誰とも結婚するつもりはないの」 「ママってば、かたくなだなあ・・・。 でもパパは、ママのことはやっぱり愛していて 戻りたい気持ちもあるみたいに見えるよ」 「いや、ミホ。 もちろん、ママのことは大切だ。 でも、俺は今後、女は作っても 誰とも籍は入れないというつもりでやっている。 子どももミホ、お前だけだ。それが、ヤクザってものだ」 そんな2人の生きざまを『かっこいいな』って思っていた。 そして、心のどこかに 『こんな強い絆で結ばれるふたりになりたい』 と思っていたのかもしれない。 そのときは、まだ、わからなかったけど
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