第10夜 ~ネオン~

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「このスナックもあと1ヵ月でつぶれる。 また働く場所がなくなっちゃうな」 悩んでいると、マーちゃんは私のために 新宿の歌舞伎町の外れに小さな店を借りてくれた。 カウンターと卓3つくらいの小さいクラブ。 私は「ドルチェ」と名前をつけた。 だけど、当時の私は それまでの夜の経験なんてわずか1ヶ月足らず。 オープンしたての店に来てくれるお客さんなんているわけがない。 悩んでいる私に、彼は3万円をくれた。 「この金で、歌舞伎町で一人で酒を飲んで来い」 「飲みに行くだけでいいの?」 「そう。ただし、お前は小綺麗な格好して、ちょっと高い寿司屋に行け。 そして、カウンターに一人で座るんだ」 「何それ? マーちゃんは来てくれないの?」 「オレは行かないよ。行ったら意味がない」 彼が何を言いたいのか、サッパリ分からなかった。 だけど、とりあえず私は心当たりの寿司屋に行き カウンターに座った。 一人でご飯を食べていると、お金を持ってそうな オジサンが声をかけてきた 「お姉ちゃん、一人なの?」 私はその時 すかさず、マーちゃんの言葉を思い出した。
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