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「このスナックもあと1ヵ月でつぶれる。
また働く場所がなくなっちゃうな」
悩んでいると、マーちゃんは私のために
新宿の歌舞伎町の外れに小さな店を借りてくれた。
カウンターと卓3つくらいの小さいクラブ。
私は「ドルチェ」と名前をつけた。
だけど、当時の私は
それまでの夜の経験なんてわずか1ヶ月足らず。
オープンしたての店に来てくれるお客さんなんているわけがない。
悩んでいる私に、彼は3万円をくれた。
「この金で、歌舞伎町で一人で酒を飲んで来い」
「飲みに行くだけでいいの?」
「そう。ただし、お前は小綺麗な格好して、ちょっと高い寿司屋に行け。
そして、カウンターに一人で座るんだ」
「何それ? マーちゃんは来てくれないの?」
「オレは行かないよ。行ったら意味がない」
彼が何を言いたいのか、サッパリ分からなかった。
だけど、とりあえず私は心当たりの寿司屋に行き
カウンターに座った。
一人でご飯を食べていると、お金を持ってそうな
オジサンが声をかけてきた
「お姉ちゃん、一人なの?」
私はその時
すかさず、マーちゃんの言葉を思い出した。
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