第10夜 ~ネオン~

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「店で話かけられても、連絡先は絶対教えるなよ。 『また、ここでお会いしましょうね』って 約束だけして店を出ろ。次の週にまた、その店に行くんだぞ」 「うん。行ってみる」 私は彼の言う通りにして 翌週の同じ曜日、同じ時間、同じ寿司屋に行った。 すると、驚いたことに 先週会ったオジサンが本当に来ていたのだ。 オジサンは私の顔を見て、ニコニコしている。 「お姉ちゃん、また会ったね」 私は、マーちゃんに教えられた通りに答えた。 「またお会いできたのも何かの縁ですね」 「そうだね、僕も嬉しいよ」 「あの、これ私の名刺なんですけど この店でママやってるんです。 よかったら今度、来てくださいね。では、今日は失礼します」 すべては、マーちゃんの教えてくれた通りになった。 そのオジサンは ドルチェに来てくれたのだ。
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