第10夜 ~ネオン~

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そうやって、毎日いろいろなお店に一人で行って お客さんを捕まえ、少しずつドルチェのお客を増やした。 マーちゃんはほかにも 「一日に何十回も歌舞伎町を歩き回れ」 というアドバイスもしてくれた。 「わかった…。でも、なんで?」 「歌舞伎町の人間になるには、ビルや通りの名前 歌舞伎町のすべてを頭に叩き込むんだ」 周辺の地理がわからないと、お客との会話もろくにできない。 だからその知識は、本当に役に立った。 結局、ドルチェは大した儲けも出せないまま 3ヵ月でたたんでしまった。 でも、マーちゃんが水商売のことを1から教えてくれたおかげで 私はこの仕事の面白味がだんだん分かり始めてきていた。 「このまま、水商売を終わりたくない」 真剣にそう思うようになっていた。
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