初夏

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(興がそがれた…っつうんか…いやそもそも興もないな、ここじゃ) 仕方なし、俺は荷物を引っ掻き集めて音楽室へと移動することにした。 「じゃ、頑張ってきます…」 「あ、はい!頑張って下さい!!」 一声かけておけば、多分自分のせいで気を悪くして出ていったとは思わないだろう。 (ま、悪い人じゃあないし… 俺が苦手がってるだけだし…) 自分は少し損な質だ、と思う。 世の中に苦手な人間が多すぎる。 それでも少しで済んでるのはたぶん妥協が早いから。 いつからだろう、昔はもっとツッパってみたことも無きにしもあらずというか。 (あってもホントーに稀だったけどね…) ブラブラという擬音ぴったりに歩く。 木造の芸術棟に入ってからはそこにギイギイと床のきしむ音が加わった。 ブラブラ、ギイギイ。 すごい情けない。
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