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香穂が少しずつ変わっていくのに気付かなかった訳じゃない。
服装、メイク、話の内容…。
いつの頃からか、抱き合った時にしなやかな髪からほのかに香る知らないコロン。
予定をキャンセルする回数が増え、その度に言い訳する香穂の瞳が宙をさ迷い、何度も瞬きをしていたことも…。
『ウソ』だとわかっていても、それを問い詰めることも、引き止めることもしなかった。
真実を知りたくなかったから。
ウソをつかれていることを認めたくなかったから。
心のどこかで気づいていても―。
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