硝子の少年~暁生~

18/23
前へ
/23ページ
次へ
―暁生は何も言葉に出来ず、ただうつ向いていた。 どうすればいいのかわからない。 何も考えられない。 そんな暁生に対し、どこか落ち着かない様子の香穂は、テーブルの隅の伝票を手にすると静かに席を立った。 「さよなら」 それは暁生にしか聞こえない小さな声だった。 暁生はうつ向いたまま、遠ざかる香穂の気配を背中に感じていた。 香穂も振り返ることはしなかった。 「香穂…」 暁生が立ち上がり振り向いたのは、香穂が店を出た直後だった。 慌てて店を出た。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加