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外はいつの間にか雨が振り始め、通行人の色とりどりの傘が香穂の姿を隠す。
その間を縫うように姿を探す。
少し離れたバス停に、小走りに向かう香穂の後ろ姿が目に入る。
後を追おうとした瞬間、香穂に小さなビニール傘を差しかける人影に気付き、暁生の足は止まった。
雨は次第に強くなり、容赦なく暁生の体に打ち付ける。
人影が男性であることに気付くのに、たいして時間はかからなかった。
男性は香穂の肩を抱き寄せ、傘を香穂に傾けた。
動けずにいる暁生の目に、香穂達が乗ると思われるバスが近づいて来るのが見えた。
これで終わってしまう。
何もかもが終わる。
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