硝子の少年~暁生~

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香穂にとっては既に終わっていることかもしれないが、暁生にはそう感じられた。 「香穂……」 声にならない苦しい叫び。 暁生はポケットの中のビー玉を握り締めた。 この声に気付いたわけでもないが、香穂は抱き寄せられた男性の肩越しから、賑やかな傘の間に雨に打たれ立ちすくむ暁生を見つけた。 それでも香穂は見ない振りをするかのように、男性に促されるままバスに乗り込んだ。 いろんな感情が入り混じり、心が壊れてしまいそうだった。 まるであのビー玉がひび割れてしまうように。
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