硝子の少年~暁生~

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『どうして……』『別れたくない』そう言いたかった。 店の他の客に笑われてもいいから涙を流そうかとも思った。 それで香穂が戻ってくるなら……。 「安定した生活が欲しいの……。幸せになりたいの」 そう言った香穂に、学生で社会的地位も経済力も何も持たない暁生の、どんな言葉も涙も通用しないことはわかっていた。 結婚とか安定した生活なんてどうでもいい。 一緒にいられればそれでイイと思ってた。 それが幸せだと思ってた。 そして小さな宝石一つ買ってやれない自分が哀しくも情けなくもあり、自分の全てが負けたと思わずにはいられなかった―。 .
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