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第一章
「…はぁ」
昼過ぎ。荒れ果て、最早人も寄り付かない様な公園の、鉄の部分が錆びたベンチに腰掛けた少年は無感情に溜め息を吐き捨てた。
歳は、15~16歳くらいだろうか、
一見、少女にも見える繊細な顔立ちには
誰も受け付けない厳しさを孕んでいた。
「…」
少年は、自分の隣に置いた黒いリュックサックに手をのばし、中から鉛筆とスケッチブックを取り出した。
適当な頁をめくり、素早く鉛筆を走らせる。
描く其は、公園の風景等では無く、ひどく抽象的で不安定な
絵と言うよりは線で描かれた、“輪郭の塊”と言った方がしっくりくる。
黒く黒く塗り潰した様に見える其は、曖昧だが、しっかりと形があった。
まるで、存在を主張するかの様に…。
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