第一章

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何枚も何枚も、飽いた様子もなく、真っ白な頁に 只、ひたすら 鉛筆を走らせる。 その手先は素早く、そして優しい。 だが 「…」 不意に少年は鉛筆を動かす手を止めた。 無感情な顔は、瞳だけが厳しく、目の前の茂みを見据えている。 その眼はナイフの様な鋭さと、深い虚無が浮かんでいた。 1つ、溜め息をついて少年は茂みに向かい口を開く。 「…居るのは解っている。殺されたくなければ出てこい」 殺気は無い。 だが、その鋭い眼が、その言葉が本気だと物語っていた。 少年はピクリとも動かず、ただ、茂みを見据えている。その姿はまるで人形の様だ。 「…」 沈黙が流れる。 と、不意に茂みの奥から声が聞こえた 「あっはっはっ!怖いねぇそんな顔で睨まないでおくれよ」 ガサガサと音をたてて茂みから現れたのは、スーツを身に纏った長身の優男だった。 優男はゆっくりと少年が座っているベンチに近付いていく。
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