4人が本棚に入れています
本棚に追加
「だから人違…」
「違わない!」
眠兎が言い終わる前に、優男こと凪は声を荒げて言った。
その声は必死で、苦しげに顔を歪めていた。
(…話が通じない。今の所敵でもないようだし…この場合はどう対処したらいいんだ?)
いくら覚えが無いといっても、そんなに必死になられると気になってしまう。
だが、結局は眠兎に覚えが無い以上、どうしようもない訳で。
結果、嫌な沈黙が流れるのだった。
沈黙に耐えかねて、もう一度人違いだと言おうとした時
《…だよ………から、……ね?》
(…?)
不意に、頭に浮かぶ誰かの会話。それは断片的で、何を話してるのかまでは聞き取れない。
だが、話してる内の1人は、紛れもなく自分の声…眠兎だった。
「…っあ」
頭に激痛が走る。頭の中ではさっき浮かんでいた会話が、まるで壊れたラジオの様にリピートしている。
(何で…急にこんな……頭が割れそうだ…)
《…ないでね》
眠兎は耐えきれず、その場に膝をついた。
最初のコメントを投稿しよう!