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つい先程まで世界の終わりの様な顔をして項垂れていた凪だが
眠兎の異常に気付いたのか、その顔を上げて眠兎の方に顔を向けたのが、頭痛で視界が滲みだしてきた眠兎の
視界に入ってきた。
眠兎を見るなり
その顔はスッと青ざめて行くのが滲んだ視界でも解るほどだったが、今の眠兎に其を気に掛けている余裕は無かった。
踞(ウズクマ)り、頭を押さえ、漏れる呻き声。
《「…眠兎、大丈夫?」》
凪は駆け寄り、眉間に皺を寄せ、心配そうな顔で眠兎の名を呼んだ。
それが、さっきから頭の中でリピートし続けている声と、重なった。
そして其に共鳴するかの様に、一瞬痛みは増し
そして、消えた。そう、まるで嘘の様に…。
痛みから解放された眠兎は、深い脱力感に襲われ、地面に身を投げ荒く呼吸をした。
砂のヒンヤリとした冷たさが心地良い。そう思い、眠兎は眼を閉じた。
そして何時から呼ばれていたのか、不意に、凪の声が眠兎の耳に響く。
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