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―1989年―
『ハンガリー政府、オーストリアとの国境を開放』
「こうなると東も流出を抑えられないな」
「確かに、東から西に行くより遥かに簡単だぞ」
「お兄さんもプーが気になるのよ」
イギリス・アメリカ・フランスは新聞を見ながら各々意見を述べている。
俺はハンガリーの手を借りて兄さんが戻ってくることを期待しているが……兄さんの事だ最後まで向こうにいるだろう。
「ドイツ、国内はどうなんだい?」
アメリカは新聞から顔を出して聞いてくる。
「最近は統一を望んでいる声がよく聞こえる。東に家族がいる人々の声、それに乗じて周りも統一を望むようになった感じだ」
「そうかい……やっぱり…」
「どうした、アメリカ?」
「?」
アメリカは真剣な表情をしてイギリス・フランスを見る。
「今度君達とロシアを加えて話し合いがしたいんだけど」
イギリスは少し考え口を開く。
「統一についてか?」
「そういう事」
アメリカはコーヒーを一口飲んで話を続ける。
「30年も経つんだ。俺とロシアが始めた喧嘩だけど……やっぱりここまで国民の声があると俺等も大変になってくる」
「……」
「お兄さん達よりドイツとしてはどうなの?」
フランスにいきなり話を振られたが俺の中での答えなどはっきりしていた。
「統一したい……多少の風邪など厭わない」
「という事だから、考えておいてくれよ」
アメリカは今日は解散だぞ、といつもの調子に戻った。
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