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『ハンガリー政府――――』
「プロイセン君、これじゃアレの意味なくなっちゃうね」
「ゔ……ルッツに会うことができねぇとはいえ造るの大変だったからそれを言われるとなんかクるな」
「それで、ハンガリーさん辺りなら来そうだよね」
「…………」
「ま、いいや。僕はちょっと行ってくるからゆっくりしていってね」
「おう」
部屋からロシアが出ていくのを待ってプロイセンは新聞を閉じた。
「そろそろいいんじゃねぇか?」
プロイセンがそう言うとガタガタと物音をたて箪笥からハンガリーが出てきた。
「ふぅー、死ぬかと思ったわ。行くなら早くしなさいよ。ドイツだって心配してるわよ」
「俺は行かねぇ」
そう言い放ったプロイセンにハンガリーは一発、どこからともなく取り出したフライパンで殴った。
「いってぇーな! 何しやがる!!」
「あんたの事周りがどれだけ心配してるか考えなさいよ!」
「心配な、そんなことくれーいくら俺様でもわかってる」
「なら何でよ!」
「東ドイツが今の俺様だからだ。東に国民が残っているかぎり俺様はここに残らなきゃいけねぇ。ルッツにはそういう事は教えてある。心配してくれるのはありがたいが……すまないな」
「そう、わかった。私、帰るから」「気を付けろよ、ベラルーシに見つかんねぇようにな」
ハンガリーは窓を開けロープを下ろす。
プロイセンは新聞を再度手に取り開く。
「はやく、戻ってきなさいよ……ばか」
そういってハンガリーはロープを降りていった。
「わかってるよ……」
プロイセンもわかっている。
東ドイツの国民が統一を一層望んでいることを。何より弟が待っていることを。
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