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とある村に、《あかずきんちゃん》と呼ばれる女の子が住んでいました。
《あかずきんちゃん》は幼少の頃より真っ赤なずきんと真っ赤なマントを身につけさせられ、村の人達からも《あかずきんちゃん》としか呼んでもらえませんでした。
しかし、《あかずきんちゃん》は悲しくなどありません。
物心ついた時にはすでに赤頭巾を着せられていた《あかずきんちゃん》は、大好きなおばあちゃんからこう言い聞かせられていたのです。
『あかずきんや……。お前がその赤頭巾を身につけているのはね? お前の身を護るためなんだ。
だから絶対にその赤頭巾をぬいじゃいけない。
おばあちゃんとの約束だ』
それ以来、《あかずきんちゃん》はいついかなる時も赤頭巾とマントを脱がず、本当の名前を忘れられても、健気に笑っていたのでした。
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