迷探偵アドル(+α)のストーカー囮調査

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『………………』 変態紳士の口から飛び出た言葉を超えた何か。 言葉が人の思いを紡ぐための手段ということを、今この時に痛い程に実感した。 「クッ、流石は変態紳士…………格が違うぜ」 「…………」 あまりの凄まじさに生唾を飲む蓮の横で、アドルは何も言わずに唖然としていた。 そしてアリスは――、 「…………」 うちひしがれているストーカーと、清々しい顔で仁王立ちしている紳士の間に立ち、二三回二人を見た後、おもむろに紳士の右手を握って、 「勝利」 「ぅおっしゃーーっ!!」 淡々と勝者宣言をした。 第三者からの判定によってさらに自信をつけたのか、紳士は勝利の雄叫びをあげる。 その横で先ほどまでよりも落ち込んでいるストーカー。 そんなストーカーの肩に手を置いて、アリスは優しく告げた。 「………………負け犬」
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