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「太郎…」
私は小さな声でつぶやいた。
その声は太郎には届いてはいなかっただろう。
しかし、彼は私の元に近づいてきて、こう言った。
「君、どこかで会ったことがあるような気がする」
「太郎…」
今度は聞こえるように彼の名前を呼んだ。
太郎は、どうして自分を知っているのか不思議がっているようだった。
私は自分の感情を抑えることができなかった。
次の瞬間、私は太郎に抱きついていた。
私にとって、太郎は過去の人なんかではなかったのである。
押し殺そうとしても、私は自分の感情を押し殺せてなかったのだ。
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