全一章

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 ディズニーアニメの「ピーターパン」は、大人性と子供性の統合をテーマにしている。その統合のミディアムになるのがウエンディである。  この大人性と子ども性の統合というテーマをシンボリックに表すのは、ピーターパンがインディアンの酋長に勇気を認められ、もうひとりの酋長に任命される儀式の場面だ。  祝いのドラミングが響く中、酋長は長いキセルで聖なるタバコを吸う。彼が煙を吐くとなんとそれが逆三角形の聖杯のマークになる。この聖杯のシンボルは、小説「ダヴィンチ・コード」でしばしば言及されるもので、ダヴィンチが「最後の晩餐」の絵の中、イエスとマグダラのマリアの間にも隠し描いたとされるものだ。(「ダヴィンチ・コード」文庫版中巻185ページには「ディズニーが聖杯の物語を伝えることをひそかにライフワークにしていた」とあるが、ここにはピーターパンへの言及はない。)  続いて、酋長は聖なるタバコのキセルをピーターパンに回す。そして、ピーターパンがタバコを吸って煙を吐くとそれは同じ逆三角形の真っ白で小さいものになる。そして、そのピーターの小さい逆三角形は、酋長の煙の聖杯の中にすーっと入っていて入れ子になって含まれる。  
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