エピローグ×プロローグ

3/12
前へ
/12ページ
次へ
──辺り一面に拡がる 紅、一色のみの世界。 周りを炎が包み込み、周囲の酸素をひたすら燃やし尽くさんと、まるで壁の様に高く燃えさかる。 ───その中心に 俺とヤツは居た。 ヤツは1人腕を組み冷めた目で俺を見下し 俺は肉塊と化した男女2人の隣で、地にへばり付いたみっともない体勢で、それでも気持ちで負けたらいけないと、ヤツを睨み付けていた。 「───つまらんな 貴様の実力がこの程度だとは………」 失望の眼差し。 俺を見るヤツの眼は、そう例えるには相応だった。 「───貴様に選択権をやろう。 ソコの死体と同じ様に只の肉塊と化すか…… 瀕死の状態で尚、私に牙を向けるか…… 今日まで私を楽しませてくれた礼だ────選ぶといい」 「なん───だと?」 完全に…俺はヤツに見下されている。 ちくしょう……ふざけるな! どちらの選択肢を選んでも結果は同じ。 違うとしたら、俺の死が早まるかどうかでしかない。 それを……選べというのか! 「ぐ──ぬぉ───ッ!!」 「!───ほぅ…」 既にこの身体は満身創痍 抵抗するのはおろか、立ち上がるだけに必要な力すら、とうに失せている。 ────だが このままでは…終われない。 死ぬ運命が変わらないとしても…ナメられたまま死ぬ訳にはいかない! 「ガア゛ア゛ァ゛ァ゛────ッッ!」 傷だらけのこの身体を突き動かすは己が精神。 死ぬ運命が変わらぬならば、せめて一矢ヤツに報いてやる、その想いのみ。 「…その身体で立ち上がる、か」 「フゥ゛ッ!───グウゥ゛ッ!!」 「それにその顔…… そうか、お前はソレを選択したか」 ヤツが何を言ってるのか、そんなもん聞こえない。 否───聞く必要無い。 ずり、ずり、と引き摺った音を鳴らし一歩ずつ、ヤツが居る場所へ───俺は歩く。 「…面白い。 ならば、その選択をした貴様に猶予をやろう───…」 ───三年。 三年後、この世界と同質の並行時間軸へ、再びお前を喚んでやる。 それまでに、強くなるのだな───…  
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

87人が本棚に入れています
本棚に追加