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雪は珍しく、と言ったら失礼かもしれないが、真剣ににらめっこの方をしている。
「辞書とにらめっこして、何か分かったか?」
「何も……分かんない…」
と辞書から俺に目を移す。
そんな子犬みたいに見つめられても俺にはどうにも出来ないよ。
「ほら…雪の番だぞ」
と見つめてくる奴の頭をポンポンと軽く叩くと、コクンと何時ものように頷いて辞書を開いた。
「…婚約指輪……竜矢…ちょうだい?」
「やらん…」
雪は婚約指輪か。
そもそも婚約指輪ってあだ名になりうるんだろうか?
「あんたたち…いちゃつくのは家でしなさい!」
まだ東条はグチグチいっては居るが、俺は雪の言った婚約指輪をくれってやつが頭から離れないでいる。
いつまで雪も俺をみてんだよ。そんなに見つめても婚約指輪は簡単にやらんぞ。
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