えぴそーど1『生きる上であだ名は必ずつけられる』

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雪は珍しく、と言ったら失礼かもしれないが、真剣ににらめっこの方をしている。 「辞書とにらめっこして、何か分かったか?」 「何も……分かんない…」 と辞書から俺に目を移す。 そんな子犬みたいに見つめられても俺にはどうにも出来ないよ。 「ほら…雪の番だぞ」 と見つめてくる奴の頭をポンポンと軽く叩くと、コクンと何時ものように頷いて辞書を開いた。 「…婚約指輪……竜矢…ちょうだい?」 「やらん…」 雪は婚約指輪か。 そもそも婚約指輪ってあだ名になりうるんだろうか? 「あんたたち…いちゃつくのは家でしなさい!」 まだ東条はグチグチいっては居るが、俺は雪の言った婚約指輪をくれってやつが頭から離れないでいる。 いつまで雪も俺をみてんだよ。そんなに見つめても婚約指輪は簡単にやらんぞ。
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