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僅かにがっかりした顔で、少女は言葉を続けた。
「先生から、聞いた? 今度の手術のコト……」
「はい、一昨日ドクター・レインからお聞きしました。大手術だそうですね」
「そうなのよ」
そう言って、少女は小刻みに肩を震わせ、シーツの中で小さな身体を丸めた。
「今度の手術が成功すれば、普通の子と同じように、走ったり遊んだりできるようになるんですって。でも……」
医者が告げた手術の成功率は決して高くはなかった。
「とても大変な手術だと聞いています。他所のシティから、高名なお医者様をお招きしての大手術だとか。……お嫌なのですか、レディ?」
少女の声音や微かにシーツの下が震えてる事で、彼女が怯えている事がサーフィアにも判った。
決して高くはない成功率。少女の痩せ細った身体に残された体力では、その確率は更に下がるだろう。それ程に危険な大手術。
万が一失敗した場合、少女に残される道はただひとつ。
この白く冷たい病室で短い一生を終える事だけだ。
まだ幼い少女が怯えても仕方ない。手術と言うだけでも、充分恐怖の対象と成り得る年頃なのに。
小さく震える栗色の巻毛の上に、そっと触れるものがあった。
少女が顔を上げると、すぐ近くにその名が示す宝石のような瞳があり、血の通わぬ冷たい人工皮膚に覆われた掌が、優しく、少女を気遣うようにその髪を撫でていた。
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