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淡々と告げる彼女の口調は事務的な響きを持っていて、僕に僅かな反論さえ許さない雰囲気があった。
「もし、どうしても私のようなモノが良いとおっしゃるのなら、そう言ったタイプを扱っている店に行かれる事をおすすめします」
……モノ? タイプ?
彼女は何を言っているんだ?
「私は外見的にはフィメール・タイプですが、セクサロイドではありません。機能的にはセクスレスです。恋人をお求めなら、トパーズ・シリーズをおすすめします」
「セクサロイド!?」
思ってもみなかった台詞に、思わず大声を上げた。
「いいえ、私はセクスレスです」
あくまで冷静な彼女の声。
僕の頭の中はぐちゃぐちゃで、既に何が何だかワケが判らなくなっている。
「敢えて周囲に言いふらして回る必要性も認められませんので、公言はしておりませんが、私はアメジスト・シリーズ・アンドロイドです。製造番号AT-FVV-7105。認識名称アメリア・バイオレット。中央市の第11ファクトリー産です。ご用がお済でしたら、まだ仕事がありますので失礼します、ミスター・ノリス」
雲ひとつない良く晴れた日の病院の屋上で。 こうして僕の儚い恋は終わった。
...End
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