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雲雀の部屋に着くとディーノは自分を落ち着かせるためにまた深呼吸をした。
するとそのとき、ガタンと物音がした。
ディーノは慌ててドアを開けたが、中の光景に驚いた。
「きょう、や…」
ディーノの目に飛び込んできたのは骸と、骸に抱きついてるように見える雲雀だった。
「おや跳ね馬。意外と早かったですね」
「……」
雲雀はディーノが部屋に入っても見向きもしなかった。
「恭弥……お前…!」
「恭弥くんを責めないでくださいよ!」
「骸……いい」
「恭弥くん?大丈夫ですか?」
「…心配ないよ」
「恭弥…。本当に浮気してたのか」
「……?なんの、こと?」
ディーノはどこかボーっとしている雲雀の頬を叩いた。
フラフラと倒れる雲雀を骸は抱きしめた。
「お前って本当最低だっ!!俺には触りもしないで骸には触って!!俺のことどうとも思ってなかったなら付き合わなければよかっただろっ!!」
ディーノは自分で気付かずに涙を流していた。雲雀はあらく息をしながらディーノを見る。その目は焦点が合ってないように見える。
「いつ僕が……」
「言い訳とかは聞かないぜ」
「僕がいつ…浮気なんて、したのさ…」
「……きょ、うや…?」
ディーノはその時初めて気づいたのだ。雲雀が体調不良で熱があることを
「恭弥くんもう寝た方がいいですよっ;;」
「骸、ちょっと部屋でてもらえる…」
「で、でも…」
「大丈夫…」
雲雀のいうことに骸は逆らえず、渋々と部屋をでていった。部屋には雲雀とディーノだけが残された。
「…随分と信用してるんだな」
「そういうわけじゃ、ないよ……」
ディーノはソファーにドカッと座ると「何か言うことあんじゃねーの」と言った。雲雀は相変わらずフラフラになりながらもディーノと一定の距離をとって立っている。
「……あなた、今まで焦ってたんだね…」
「………」
「今まで、あなたが望んでいることを、僕はさっぱり、わからなかった…」
「…今もわかってないだろ」
「…僕は恋愛とか…そういうものが、全くわからなくて…。骸と話をして、気づいたんだ…」
雲雀はまっすぐにディーノを見つめ、一呼吸おくと言った。
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