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その夜。マスターはにこりと張り付いた笑みで私にお休み、と告げた。
わたしもマスターにお休み、と告げた。
あの顔は確実に無理をしてらっしゃる、そう思いながら眠りについた。
私が浅い眠りに付いたころだった。
マスターがゆっくり布団から出て行った。
「……傷心してらっしゃるのですね。」 そう思って
そっとしておこうと思い、そのまま眠りについた。
次の日の夜。マスターはにこりと自然な笑みで私にお休み、と告げた。
わたしもマスターにお休み、と告げた。
………おかしい、おかしすぎる。何故という二文字が頭に波紋のように広がった中、眠りについた。
私が浅い眠りに付いたころだった。
マスターがゆっくり布団から出て行った。
「今日も出て行かれるのですか?」
マスターが戸をゆっくり閉めた後、私はその小さな後姿を追いかけた。
家の玄関でマスターが誰かと話をしていた。
遠くて見えない。力を使ってるようだ。あの魔法…どこかで見たような…
「……マスター!!Σ」
ふと、魔法の用途を思い出してマスターもとに駆け寄った。
が、ばちっ、とマスターに触れる前に弾き飛ばされてしまった。
バリアを張られている。私ではとめることが出来ない。
この使われることを禁じられた『心を人に埋め込む魔法』を。
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