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周りの空気が光を持ちアルツの元に集まった。
光で黒が白くなる。
黒が口づけをやめて話す。
「アルツ起きて…半分だけ、心、あげる…から」
黒の寝ぼけているとは思えない発言に驚いている間に事は終わった。
それは、一瞬だった。
ほんとに、ほんの一瞬だった。
綺麗な色をした光の空気が星型に集まり、光って、床に落ちてはまた集まり光って。
―クロはいつでも綺麗な魔法を使うんだな―
昔、シロがクロに言っていた言葉が
今、黒がアルツにかけた魔法によって思い出された。
「……クロ様…」
従者の涙が星と一緒に光って床に落ちた。
何事もなかったかのように黒はシロのいる寝室に元に戻っていった。
そこに残されたアルツと影の二人。
「気が付きましたか?」
「…オレ…無事……?」
「心が未発達なんでしょうか?黒様が貴方を助けてくれたんですよ…」
影は、シロが黒にアルツを教えていないはずなのに、どうして黒はアルツが分かったのか疑問で仕方がなかったのだが、
それは奇跡の一環としてこれ以上考えないことにした。
「クロ様…今、何処にいるんですか?…どうか…ご無事で」
そしてこの夜は朝を迎える。
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