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「あーよく暴れた…」
緑の草原の中を赤い少年が歩く。
「にしても懐かしいな…ここに戻ったのは何年前かなぁー…っと」
そういうと少年は野原に寝ころんだ。
緑が太陽の光を吸い込んだ様な、そんな綺麗な黄緑色の草が風になびいて少年の頬をくすぐる。
「あ?」
くすぐったさに顔をしかめ、目をつぶろうとした瞬間、空に小さな白い粒を見つける。
「ん、白い神様?…君は新種かい?」
ゆっくり頷いて名乗る白い神。「…アルツ…」
「アルツって言うんだ?」
上半身だけを起き上がらせて少年は言った。
「血、…拭いたらどう?」
「あー…そういえば拭いてなかったかも」
忘れてた。と付け足し、赤い少年は頬や髪などのいたるところについている血を、服の袖で強く擦って消した。
微かに赤が残るも、赤い少年は薄金髪の少年に戻った。
「で、アルツは何してたの?」
話を切り出したのは、少年。
「チハルを治してクロを助けてこいって言う、黒のお願い聞いてた。チハルは治した…けど」
「けど?」
「クロは君が助けてくれたみたい」
「……Σ」
アルツは確実に目の前にいる少年を指差した。白衣にオッドアイ、ゴーグルをかけたあの少年を。
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