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音より、早く
光より、早く
其処に、向かい
其処に、着いた。
「いな…い…?」
『マスター…これは一体「クロ、いつまで隠れてんだ、もういいだろ、かくれんぼなんかやめて出てこいよ!!」
マスターは、私の言葉を遮る様に叫んだ。
かくれんぼといっても、辺りは隠れる場所など何一つ無い。
まるでマスターはネジが一本足りないかの状態に陥った。
「クロ…!!おぃ、クロ…」
いつも飽きるほど読んでいるその二文字を、見つかるまで繰り返した。
見つかるまで…そんなものは無かった。
見 つ か ら な い 。
「クロっクロっクロっっクロっっクロっぅぅ………」
その場に蹲ったマスターの目が、底知れぬ闇色に変わった。
そう、マスターは神であれ、全知全能ではない。
クロと言う弟に支えられて、弱弱しく生きているのです。
≪まるでマスターはネジが一本足りないかの状態に陥った。≫のでは無く、
≪マスターはネジが一本足りなくなった状態に陥った。≫のです。
そして
星の命が一つ消えた。
運命が変わった。
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