1、恋が降ってきた

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   慣れた感じの運転も、ギアを動かす腕も。 車の窓から見える信号や通り慣れた道さえも。 御堂の隣にいると、世界の全てが格好良く見えた。 (ああ。もう頭がクラクラする!) ♪~恋に落ちてぇ~♪ ふいにラジオから女性歌手の歌のサビが聞こえた。 そうだ、恋に落ちた! 「着いたよ」 「はうっ!?」 ニヤニヤする祭を、御堂は怪訝そうな顔で見ていた。 その御堂の瞳に映るのは祭。 (私が御堂さんの瞳に映ってるよぉ!) 「きゅーんっ!」 「な、なんだ!?」 「なっ、なんでもないです。送ってくれてありがとうございます。オドウさん!」 「オ、オド……ウ?」 「オドウさんでしょ?」 「……ぶっ。ぶはっ!」 先ほどまでのクールな御堂は消え「ぶわっはっはっはーっ」と腹をかかえて大爆笑。 (…………アレ?)
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