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「傘に入るか?」
「へっ?」
振り返るとスーツ姿の男が傘をさして立っていた。
スラリと高身長に、広い肩。
何かスポーツでもしてそうな体型に似合わず、涼しげで端正な顔立ち。
いわゆるイケメンだ。
(こういうタイプこそ何考えてるか判らないんだよね)
祭は本能的にそう感じた。
小太りジーンズ男とはまた違った怖さがある。
「……お前つけられてるぞ」
そう言うとイケメンは少し横にずれて、後方に向けて親指でクイッとたてた。
その方向をイケメン越しにジーンズ男を見ると、電柱の陰に隠れ……隠れきれてない。
股間をモミモミしハアハアしている所がばっちり見えてしまった。
「ぎぇーっ……きもっ!」
ゾゾゾと鳥肌がたつ。
「入らないなら俺は行くから」
信号の色が変わり、イケメンが歩き出すと、フワリと香水の甘い香りがした。
見た目20代後半。
スーツの胸には有名玩具メーカーの社章。
少し長めの前髪はきれいに流し、スーツも清潔感に溢れている。バッグや靴も高価な感じだ。
きわめつけは物凄いイケメン。
この男も変態かもしれないが、股間もみもみ男と比べると……
「まっ、待って! 傘に入れて下さい!」
駆け寄って傘にはいり、並んで歩き出した。
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