1、恋が降ってきた

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「傘に入るか?」 「へっ?」 振り返るとスーツ姿の男が傘をさして立っていた。 スラリと高身長に、広い肩。 何かスポーツでもしてそうな体型に似合わず、涼しげで端正な顔立ち。 いわゆるイケメンだ。 (こういうタイプこそ何考えてるか判らないんだよね) 祭は本能的にそう感じた。 小太りジーンズ男とはまた違った怖さがある。 「……お前つけられてるぞ」 そう言うとイケメンは少し横にずれて、後方に向けて親指でクイッとたてた。 その方向をイケメン越しにジーンズ男を見ると、電柱の陰に隠れ……隠れきれてない。 股間をモミモミしハアハアしている所がばっちり見えてしまった。 「ぎぇーっ……きもっ!」 ゾゾゾと鳥肌がたつ。 「入らないなら俺は行くから」 信号の色が変わり、イケメンが歩き出すと、フワリと香水の甘い香りがした。 見た目20代後半。 スーツの胸には有名玩具メーカーの社章。 少し長めの前髪はきれいに流し、スーツも清潔感に溢れている。バッグや靴も高価な感じだ。 きわめつけは物凄いイケメン。 この男も変態かもしれないが、股間もみもみ男と比べると…… 「まっ、待って! 傘に入れて下さい!」 駆け寄って傘にはいり、並んで歩き出した。
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