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「ほら、タオル」
頭にかぶせられたタオルは、ふわふわしてお日様のいい香りがした。
包まった状態で顔や頭をゴシゴシ拭き、タオルの隙間から御堂を見ると、ずぶ濡れの右肩を拭いていた。
(私が濡れないように傘を傾けてくれたんだ。「おじさん」って言って悪かったなぁ)
祭が見つめる中、御堂は首元に手をかけシュルリと音をたててネクタイを緩めた。
ドキン
ただそれだけの動作なのに色気がある。
濡れて肩が透けているから? 髪が濡れているから?
違う――同級生とは違う大人の男がそこにはいた。
「顔が赤いな。風邪ひいたか?」
御堂は祭のおでこに手をあてた。
大きな男の手。
ドキンドキン
「……車で送るよ」
「車っ!? いっ、いいです!歩きで十分ですっ」
「歩きは俺が疲れるんだ。ホラ行くぞ」
祭を追い立てるようにして部屋を出てエレベーターで地下駐車場に到着すると、黒い四駆のハザードが点滅してロック解除の音が響いた。
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