―本音―

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躰はそこに在るのに、脱落したままの心。開かれた瞳には、歪んで映る現実。煙草の煙を吸う時だけ、私は、呼吸をしていると言う実感が湧いていた。 溶け出る溜め息はきっと、この暑さのせいだろう。 抜け落ちた心の隙間を持て余しているのは、自分だけじゃないと思うことで、ほんの少しだけ安堵感に包まれる。
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