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「何か完璧過ぎて近寄りがたい感じする。翼って、勉強も出来るし、スポーツもこなすし。」
その言葉を聞いて、納得した様な表情を浮かべ、少し翼は考え込む様な顔をしてから、思い出し笑いを浮かべた。
「けどさぁ…アキだって野球、やってたんでしょ???見たよ?こないだの場外特大ホームラン。」
「見た?」
「クラスの女子が皆、体育館からキャ~キャ~言って見てたよぉ???アキファンクラブの会員増えたよね???確実に!!!」
「マジで???」
「マジで。」
屋上で寝転がった翼がクルリと回って、再びこっちを見る。
最近は二人で屋上にたまって話す事が多くなった。
けどあんまし公過ぎて、皆には変な噂は立てられてはいない様だ。
†††
翼は…何だか今まで会った他の女の子とか、今まで付き合った女の子とは全く違う感じだ。
俺の事を下心で見て話し掛けてきたりしないから、すんごく気を使わないし、話し易い。
俺の事をある意味男扱いしてないから、一緒にいて居心地がいい。
俺は普段は周りに明るくテンション上げてるけど、普段からそんなんじゃない。
テンション低くて、普通に無口でいても、翼は全然、気にもしない。
…ぶっちゃけ沈黙でいたって、平気な顔して、空を見つめてたりする。
前に付き合った女の子なら「私といて楽しくないの???」とか言われて怒られる場面でも、だ。
…翼の、そこがいいのかもしんない。
翼が彼女だったら楽だろーな、なんて少し思ってみたりする。
翼は俺を自然にさせてくれる唯一の女の子の様な気がするからだ。
†††
俺は体を翼ににじり寄せる。
「…翼、翼ぁ。」
「…何???」
翼は寝返りを打つ。
「…今度さぁ、席替えあったら、翼の隣キープしてもいー?」
「…別にいいけど、テストは見せないよ???」
「じゃなくて…国語の時、漢字教えてよ?」
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