26人が本棚に入れています
本棚に追加
高校の同窓会の数日前、俺は翼が出席する事を山下から聞き付けた。
「え?翼、来んの?マジで?」
「らしーぜ、アキ。高校コンビ復活じゃん?」
「復活って…」
俺は少し溜息をつく。
「今の俺とあいつは全然違うじゃん?」
「違うって…確かに違うけどさぁ、それは皆共通じゃん?」
「俺…逢わす顔ねーわ。」
「何言ってんだよ、皆待ってるぜ?文化祭名コンビ復活を。」
待ってる…かもだな。
皆待ってるよ、翼の事は。
今は世界のランウェイを駆け巡るスーパーモデルだから。
「…よく休み取れたな、翼。」
「だよな?楽しみだよ。」
「…俺も、かな…」
「何だよ、浮かない声だなぁ?」
「…や、何か違う世界の人みたくね?」
「そりゃそーだけど…翼と連絡取ってない訳?」
「取れっかよ?世界中だぜ?」
「誰も予想出来なかったよな、あんなに大人しかった翼が…なぁ?」
「俺は少ししてた。」
「…そーなの?」
そうだ。
俺は唯一予想してたかもしんない。
隣にいた翼が…
何時か手の届かない存在になるかもって事。
何時も隣で猫背だった翼。
俺の高校時代最大の思い出だった翼の存在。
†††
もう離れ離れになって五年にもなるんだ…
翼はまだ俺との約束覚えてるかな、とチラリと思った。
そして思い出した。
高校三年間。
翼と一緒に過ごした日々の事…
翼と出会って…
翼に惹かれて…
翼と恋に落ちたあの頃の事…
あれは八年前だったよな、と苦笑する。
そして思い出す。
あの頃の翼の笑顔。
ずっと隣にいたかった。
ずっと隣にいられると思ってた。
あの頃…
最初のコメントを投稿しよう!