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「なんだよ、やけにでけーな?」
それが初対面、第一声。
恐らく人生最悪の言葉をぶつけられて、やけに丈の短いスカートを翻して、翼は泣きそうな顔をした。
「気にしてるんだけど。好きでこうなった訳じゃないし。」
「何センチある訳?」
「百七十ちょっと…」
「百七十ちょっとって…俺よかでかいじゃん?」
当時の俺は百七十なかった。
「あんた、随分ズケズケ物を言うわね?」
「よく言われるけど、気にした事ない。」
「…でしょうね?」
彼女は上から俺を見下ろす。
「お前何て名前?」
「そっちから名乗ればぁ?」
「知念明秀。通称・アキ。あんたは?」
「名嘉真翼。」
「翼?名前も男子くせーの?」
「うっさい。」
ぷいと向く翼の横顔は何処かハーフみたいな奥行きのある、鼻筋の高い顔立ちで。
「お前、ハーフ?」
「…何で解ったの?あんましハーフみたいって言われた事ないのに。」
「俺、アメリカのクォーターだもん。」
「マジ…かもね?あんた色白いし。」
「翼は白くねーな。」
「私はスパニッシュ系だもん。白くはないわ。」
「あっそ。何組?」
「一組。」
「マジ?同じじゃん翼。」
「呼び捨て止めて。」
「俺はアキでいーから。」
「何それ?」
「今日から俺はアキ、お前は翼。決まりな?」
「かっ…勝手に決めないでよぉ!」
「…決めた!!!ついでに翼は俺の連れになる!これも決定!!!」
「信じらんない…最悪…マジ嫌なんですけど???」
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