26人が本棚に入れています
本棚に追加
「…ヤダ!嘘!本気?」
「俺の相方…遂に見つけましたってな?どーよ???」
「絶対に絶対にヤダ!!!冗談じゃないわよ!!!」
けど翼は手を繋いだまま、走っていく。
俺のショートウルフの淡い茶髪と、翼のショートカットのダークブラウンの髪が風に揺れる。
校内を、手を繋いで駆けていく二人の事は、こうして入学初日から、北高中に広がるビッグニュースになった。
何か俺のファンクラブ(俺は全く存在すら知らなかった)の女子はあーだこーだ言ってたらしーが、翼の中性的な少年ぽいルックスが、受けたらしく、何も揉め事にはならなかった…みたい。
寧ろ「北高のタッキー&翼」として歓迎されたみたいだ。
そうして、俺と翼の高校生活は幕を開けた。
†††
「翼ぁ~」
休み時間、沢山の女子の声。
「…何?」
怪訝な表情を浮かべながら、次の時間割りの教科書やノートを準備してる翼を女子達が取り囲む。
「一緒に写メ…撮ってもいい?」
「いいけど…何それ?どういう事??」
「まぁ、真ん中に!カメラあっちあっち!!!」
パチリと撮る。
他の女子がバカチョンでもパチパチ撮っている。
翼はキョトンとしている。
「翼!」
「何?知念君。」
「アキって呼べよぉ!翼!!!」
「何で呼び捨て強要すんの?マジ意味解らないんだけど?」
「お前は俺の連れだから!!!」
「何それ…あんたの連れなんかなった覚えないんですけど???」
そうやってキッと睨みつけても、俺は全然動じない。
終いには呆れ顔で翼は俺を見つめる。
「どーだった?健康診断!!!結果出たんだよな???」
「また嫌な質問…最低、最悪。」
「身長…伸びた???俺さー百七十乗ったよ!!!」
翼はそんな俺を見て、皮肉な笑みを浮かべる。
「残念ね。こっちも伸びました。百七十七よ。」
「うっそー!!!俺、百七十二…」
「まだまだね…」
皮肉で歪んだ笑みを零す翼。
最初のコメントを投稿しよう!