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「マジかよー?!」
「不本意、不愉快極まりないけどマジよ…」
終いには翼は仏頂面になってしまった。
「…いや、俺も頑張らないとなぁ…」
「何よ???私と並んで何かあんたにメリットある訳?」
ジロリと睨み付ける翼の大きな瞳。
「メリットなんかねーけどさー…。だって…翼は女の子じゃん。」
翼は余りにも意外な言葉だったのか、視線を泳がせ、真っ赤に頬を染める。
「どした?どしたの?」
意外な反応に、思わずキョロキョロ覗き込む俺を見て、視線をそらす。
「…あんたの口からそんな言葉出るなんて思わなかった…」
「…何だよー?言われた事ない訳なの?」
「このルックスよ?……生まれて…初めてよ…」
翼は首筋まで真っ赤にして、俯いてる。
「そっかぁ…俺はこんな顔じゃん?前はよく女の子と間違えられたよ?」
「かもね…私からしたら羨ましいかもしんない。…知念君の事…」
「だから男らしく見える様に野球したり、筋トレしたりだよ???意外と大変だし苦労もしてるの、俺は!!!」
翼を連れ出し、二人きり、プラプラ歩き、校舎裏に座り込む。
「うわ!!!座高低っ!!!」
「煩いなぁ…羨ましいとか言われても、意外と面倒臭いのよ?痩せてるから、服の丈なんか全然合わないし。」
「ウエストとか細そうだもんな?」
「五十五しかないのよ…服なんか丈詰め、丈詰め、丈詰めばっかり。嫌になるわよ???」
「じゃあさぁ…ファッションモデルとかなったら?」
意外な言葉だったのか、翼はポカーンとする。
「…何それ?」
「翼、綺麗じゃん。顔もスタイルも。」
「…何それ。お世辞言っても何にも出ないからね。」
ぷいと横を向いた顔はまた赤くて。
「いや!!!俺は好きだよ。翼みたいなの。カッコイイじゃん???」
「何それ。告白みたい…」
翼はそう呟くと完全に俯いてしまった。
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