26人が本棚に入れています
本棚に追加
それに…俺の身体に触れる翼の胸は想像以上に大きくて、俺は内心ドキドキしまくった。
「…泣き止んだ?」
「うん…ごめんね…」
泣き止んだ翼はまだ赤い瞳のままで。
「…何かしおらしい翼って変。」
「るっさい。そんな私を抱き寄せてたアキも変だよ。」
「あ。今、アキって呼んだ!!!」
「あ…なし!!!今のなし!!!」
「聞いちゃったもんね~!!!可愛いな♪つ・ば・さぁ♪」
「マジぃ???なし!!!なしだってぇ~!!!」
「却下!!!」
俺達は立ち上がる。
翼はかなりしまったって顔をしてて、それが一層、俺には可愛く見える。
段々可愛く見えて、見えて、堪らなくなる。
これって恋なのかなぁ?
†††
けどぶっちゃけ、この時から、感じてた。
何処かイノセントでフラジャイルな魅力の翼が…何時か遠くに行ってしまうんじゃないかって不安が、何時からか、この時からなのか、俺の胸には宿っていたんだ…
目の前をヒラリと軽やかにステップを踏む、妖精の様に愛らしい翼を見ながら、そんな事を考えてたんだ…
翼は思い切り泣いた後のせいか、とても嬉しそうな顔で、こっちをクルリと向いて、花が綻んだ様な顔を見せて笑った。
その時の俺はただ翼のそんな笑顔を独り占めに出来たのが嬉しくて、笑い返した。
†††
ずっと隣で翼が笑っていればいいのに、と思った。
俺と一緒に笑っていて欲しいと思った。
当時の俺の願いは…それしかなかったかもしれない。
それだけだったかもしれない。
まだ恋かどうかもしれないのに。
そんな事しか考えてなかったんだ…
最初のコメントを投稿しよう!