第壱章

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「…enemyか……?」 声からして男、なのだろう。 先程まであった殺気は今は無く、困惑したような雰囲気になった。 enemy……敵、か。 にしても英語で来るとは。オマケに日本語と混合で使っている。 なんとも不思議な男だ。 暗闇から出て来たのは見知らぬ男。 先程刀を抜いていたはずなのに今は鞘の中のようだ。 いや、それともそれは錯覚だったのか? 「自分は少なくとも君の敵じゃない。というかここは何処なのか知りたいくらいだ」 少し冷たい口調になってしまっただろうか? でも敵に間違われたのだ。 腹も立つ。 にしても敵、とは。 なんとも物騒なことだ。 まぁ見覚えのない風景ばかりなのだからこの土地自体が物騒なのかも知れないが。 「殺気はねぇってことは、一応敵じゃなさそうだな」 目の前の男は一通り少女を見て、ひとり頷いていた。  
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