第壱章

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「あんたも南蛮語が話せるとはな、変わったやつだとは思っていたが本当に変わったやつだったとは」 なんだろう…凄く馬鹿にされているような気がする…。 そもそも英語を南蛮語というこの男のほうが変わっていると思う。 今時いたのだな。 「俺は奥州筆頭伊達政宗だ」 うん、聞き間違えでなければ、この人は頭がおかしいのだろうか。 「伊達…政宗……?」 「なんだ、その顔は」 「いえ、なんでもないですよ?」 「なんで疑問系なんだ?」 政宗という男は明らかに顔をしかめた。 つくづく人を馬鹿にしたような物言いだ。 いや、存在そのものかもしれない。 だが嫌いではない。 分かりやすくていいじゃないか。 「んで、ここで何してんだ、お前は」 「なんでしょうね?君と同じく迷っているんじゃないですか?」 「なんで俺に聞く?!」 「いえ、なんとなく」 つくづく自分も性格が悪い。 苦笑交じりに答えると相手はなにが面白いのか声を押し殺そうともせず笑った。  
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